長南です。 皆さんの議論からずれているかもしれませんが、私の考えを書いておきます。 ○ コピーライト表示について 日本では、宣言しなくても、文章を発表すれば、自動的に著作権が 生じるそうですが、宣言が必要な国もあるらしい。それならば、 念のためコピーライト宣言をしておくのは、悪いことではないと思います。 著作権を放棄・譲渡したい場合は (それが日本では有効であれ、無効であれ)、 ヘッダの適当なところに、その旨はっきり書いておくのが、一番わかりやすい のではないでしょうか。 ○ 著作権について 次に著作権とは何かですが、お金のことを考えに入れなければ、次の三つに 帰着するだろうと思います。 1) これは私の書いたものであり、この文章がもたらす名誉も不名誉も 私のものであるという宣言。 2) 盗用の禁止。 3) 改竄の禁止。 まとめて平たく言えば、「書いた人に敬意を払う」ということでしょう。 その一点さえ押さえておけば、著作権の問題は、大筋では間違えないのでは ないかと思っています。 ○ 当プロジェクトのような共同作業における著作権の緩和 ただし、このプロジェクトのように、共同で何かをする場合には、すこし 違うところがあります。上の 1) は、変わりません。しかし、2) と 3) に ついては、「ある条件」のもとでは、前の人が書いた文章を使用することや、 それを変更することを認めることになります (盗用や改竄とは見なさない)。 そうしなければ、翻訳の引き継ぎも出来なければ、訳文の改善も出来ないからです (もちろん、まったくゼロから訳しても構いませんが)。 その「ある条件」ですが、一つは原文がバージョンアップして、訳文の改訂を 行う場合ということ。もう一つは、変更・改訂部分について文責をはっきり させるということです。 私としては、こうしたことは、訳者の引き継ぎを想定している当プロジェクト のようなところでは、暗黙の了解事項だと思っていました (一種の紳士協定)。 そして、ここ十年ほど、そのように行動してきました。 現バージョンについて訳了後に (大抵の場合は公開後に) 翻訳者以外が 変更を求める場合は、一種のバグ報告として指摘し、翻訳した当人に直して もらうのが、順当だと思います。そうするのは、編集合戦を避けるためでも ありますが、訳した人に敬意を払うからでもあります。 当プロジェクトでは、既成の訳文の再利用と変更を認めるのですから、実のところ、 著作権の放棄や譲渡には、あまり意味がないのではないかと思います。しかし、 はっきりそう明示しておきたいなら、そうしても良いでしょう。自分の思想の 表現なのでしょうから。 ○ 翻訳履歴について なお、翻訳履歴 (の追加) は、自分が著作権を放棄・譲渡する場合でも、 絶対に必要です。それは、文責の明示にかかわるからです。訳文の改訂をした後、 翻訳履歴に改訂の情報を追加しなかったら、改訂部分まで前の翻訳者に文責が あるように見えてしまいます。それはおかしいし、前の翻訳者に迷惑でしょう。 文責をはっきりさせて、はじめて改竄ではなく、改訂になるのだと思います。 それに、「いついっ日、原文のバージョン何々を翻訳した」という情報が あった方が、あとあと、この翻訳がいかなるものかを知るのに便利ですし。 著作権の放棄や譲渡をする場合ですが、その場合でも、自分の名前を どうしても出したくないということでなければ、翻訳履歴は普通に書けば よいと思います。そして、ヘッダの適当な場所に「著作権を譲渡する」旨 書いておく。名前を一切出したくない場合については、応相談ですね。 JM 名義にするか、Anonymous とでもするか、そのとき決めればよいでしょう。 -- 長南洋一