[JM:00259] Re: help2man help2man.1

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長南洋一 cyoic****@maple*****
2011年 4月 30日 (土) 21:35:23 JST


長南です。

原文と日本語の roff ソースを結合して張り付けるのがご面倒でない
のならば、原文の行頭のすべてに 「.\"O 」を付け、原稿全体の上に、

<STATUS>
stat: DP
ppkg: help2man
page: help2man.1
date: 2011/04/30
mail: yasum****@xxx*****
name: Yasumichi Akahoshi
</STATUS>

という情報を付ければ、ほぼ JM の投稿書式になります。原文と訳文の
対応する箇所が離れてしまうので、チェックがやりにくくなりますが、
po ファイルを使って翻訳したものだと言えば、大目に見てもらえるのでは
ないでしょうか。もっとも、po ファイルでの投稿ができた方がよいので
しょうけれど。

それでは、チェックに取りかかります。試訳をたくさんつけましたが、
訳例というより、わたしの考えを説明するためのパラフレーズのような
ものです。そのまま使えないものが多いと思います (間違っている
ところもあるでしょうし)。訳文を推敲なさる際の参考にしてください。
もちろん、そのまま使えるものは、ご自由にお使いください。

> .TH HELP2MAN "1" "March 2011" "help2man 1.39.2" "User Commands"

> .TH HELP2MAN "1" "4月 2011" "help2man 1.39.2" "ユーザーコマンド"

ここは訳さないのが習慣みたいです。訳してもよいのかもしれませんが。

> \fB\-n\fR, \fB\-\-name\fR=\fISTRING\fR
> description for the NAME paragraph
> .TP
> \fB\-s\fR, \fB\-\-section\fR=\fISECTION\fR
> section number for manual page (1, 6, 8)

> \fB\-n\fR, \fB\-\-name\fR=\fISTRING\fR
> 「名前」という章の説明
> .TP
> \fB\-s\fR, \fB\-\-section\fR=\fISECTION\fR
> マニュアルページのセクション番号 (1, 6, 8)

この原文は paragraph ですが、普通は原文でも section と言っていると
思います。この原文はすぐ下に section が出てくるので、混乱を避ける
ために paragraph を使ったのでしょう。でも、見出し語「名前」や
「説明」に続くブロックを「章」と訳した例は、あまりないのではない
でしょうか。「名前」なんて「章」と言うには、短すぎますから。
たしかに、man-db の man の man ページでは「章」と訳していますが、
man-pages(7) では、1, 2, ... 8 といった番号の方も、「名前」「説明」の
方も、訳語は「セクション」です (一ヶ所だけ、Section 4 を「4 章」と
訳しているところがあります)。

わたしとしては、--name の方は、

  「名前」セクションで使う説明文

とし、--section の方を、

  マニュアルページが所属するセクションの番号

とでもすれば、混乱はないだろうと思います。

もちろん、paragraph や section を「節」や「項」と訳すことも
できます。でも、「節」や「項」は日本語として正しいのですが、
読者に「ああ、あれね」とわかってもらえるかどうか。そんなわけで、
「セクション」が無難ではないかと思うのです。赤星さんも下の方では
「セクション」を使っていらっしゃいますし。paragraph を省略して、
「『名前』で使う説明文」はあるかもしれません。「『名前』パラグラフ
の説明文」でもよいかも。

# ついでに、元木さんへ。
# man-pages(7) に「マニュアルページのセクション」という見出しが
# 二ヶ所出てきます。二個目の方は Sections within a manual page の
# within を抜かして訳したのではないでしょうか。

> \fB\-S\fR, \fB\-\-source\fR=\fITEXT\fR
> source of program (FSF, Debian, ...)

> \fB\-S\fR, \fB\-\-source\fR=\fITEXT\fR
> プログラムのソース (FSF, Debian, ...)

この「ソース」は「開発元」とか「配布元」とかではないのですか。

> \fB\-L\fR, \fB\-\-locale\fR=\fISTRING\fR
> select locale (default "C")

> \fB\-L\fR, \fB\-\-locale\fR=\fISTRING\fR
> ロケールの選択 (既定は "C")

「マニュアルの種類」とか「プログラムの配布元」とか、ずっと
オプションで指定する「物」を言ってきたわけです。ここだけ、
「選択」という「行為」を表す名詞を並べるのは、不調和な気がします。
「選択するロケール」か、原文どおり「ロケールを選択する」の方が
よいのではないでしょうか。それから、default は「既定」よりも
「デフォルト」の方が、もう通りがよいと思います。

> \fB\-i\fR, \fB\-\-include\fR=\fIFILE\fR
> include material from `FILE'
> .TP
> \fB\-I\fR, \fB\-\-opt\-include\fR=\fIFILE\fR
> include material from `FILE' if it exists

> \fB\-i\fR, \fB\-\-include\fR=\fIFILE\fR
> `FILE'からの題材を含める
> .TP
> \fB\-I\fR, \fB\-\-opt\-include\fR=\fIFILE\fR
> `FILE'が存在した場合に題材として含める

「大辞林」によれば、「題材」とは、「芸術作品などの制作の対象
としてとりあげ、その主題となる材料」だそうです。ここでは、
man ページに挿入する「原稿、データ」などでしょう。「文章」と
言ってしまってもよいかもしれません。

「含める」でも間違っていませんが、こういうときは、「取り込む、
差し込む、嵌め込む、裁ち入れる、挿入する」などと言うのでは
ありませんか。たとえば、「'FILE' から原稿を取り込む」とか。

細かいことですが、「'FILE' から」というふうに、「'」と日本語の
間に空白を入れるのが、man ページの習慣のようです。

> \fB\-N\fR, \fB\-\-no\-info\fR
> suppress pointer to Texinfo manual

> \fB\-N\fR, \fB\-\-no\-info\fR
> Texinfo マニュアルへの誘導を抑制する

これは、

  The full documentation for help2man is maintained as a Texinfo manual.
  If the info and help2man programs are properly installed at your  site,
  the command

         info help2man

  should give you access to the complete manual.

という文章を、作成される man ページに書き込まないということでしょう。
だったら、「Texinfo マニュアルを紹介する (あるいは、推奨する) 文を
作成するマニュアルページに書き出さない」「Texinfo マニュアルの
紹介を省略する」などと言わないと、わかりにくいのではないでしょうか
(前者はちょっと長くなりすぎたかもしれませんし、後者で読者に
わかるかどうか、自信がありませんが)。

これはどういうことか、わたしにはわからないのですが、どういう
例があるのですか。。

> \fB\-\-help\fR
> print this help, then exit

> \fB\-\-help\fR
> このヘルプを表示し終了する

help2man --help のヘルプメッセージだから、「このヘルプ」になって
いるのではないでしょうか。man ページの説明では「この」はいらない
と思います。「使用法を簡単に説明して終了する」などと、書き変えても
よいかもしれません。

> EXECUTABLE should accept `\-\-help' and `\-\-version' options and
> produce output on
> stdout although alternatives may be specified using:

> EXECUTABLE (実行可能ファイル)は、 `\-\-help' および `\-\-version' オプションを受
> け入れ標準出力に
> 出力を生成する必要があるが、代替えとなるオプションを指定することもできる:

この EXECUTABLE は「書式」に出てくる EXECUTABLE のことでしょう。
普通の man ページなら、\fIEXECUTABLE\fR となっているところです。
ですから、訳注を入れるなら、「上記書式の EXECUTABLE (すなわち、
そのマニュアルを作成しようとしているコマンド) は」といった説明に
なるはずです。これでは長すぎるでしょうが。

「標準出力に出力を生成する」は内容的には正しいのですが、
表現が固いし、普通の読者にはイメージがわきにくいと思います。
と言っても、どう言えばよいのかわかりませんけれど。

although alternatives may be specified using: については、
「代替え」という表現がよくわかりませんでした。辞書を調べたら、
「だいたい (代替) の重箱読み」と出ていました。alternative の
訳はいつでも難しいのですが、「代替 (だいたい)」に変えても、
文章がわかりやすくなるわけではありませんし、もっと違った
表現が必要なんだろうと思います。

それから、should を「必要がある」と訳すと、言っていることが
文の後半と矛盾してしまいます。「べきだ」ぐらいにしておくのが、
妥当なのではないでしょうか。

「できる」の後ろのコロンは「。」で十分ではありませんか。

説明を補足したくどい訳ですが、ご参考までに書いておきます。
自分でも、よい訳だとは思っていません。

  マニュアル作成の対象になるコマンド (上記書式の EXECUTABLE) は、
  --help や --version というオプションを受け入れて、標準出力に
  メッセージを表示するようになっているべきである。もっとも、
  次のような方法を使えば、--help や --version に相当する
  別のオプションを指定することが可能だ。

> .SH "INCLUDE FILES"

> .SH 含めるファイル

わたしも立花さんに賛成です。このツールを使うような人なら、
インクルードでわかると思います。でも、もし、日本語が使いたいのなら、
「ファイルの取り込み (差し込み、組み込み、挿入)」などとする手も
あります。

> Additional material may be included in the generated output with the
> .B \-\-include
> and
> .B \-\-opt\-include
> options.  The format is simple:

> .B \-\-include
> および
> .B \-\-opt\-include
> オプションを利用して出力を生成すると追加の題材を含めることができる。ファイルの形式は単純である:

「題材」や「含める」がちょっとおかしい、ということは前にも言いました。
以後、同じ言葉が出てきても、コメントは省略します。

それから、「ファイルの形式」というより、「ファイルの書式」では
ありませんか。

simple の後のコロンは、「。」で十分だと思います。

>     [section]
>     text
>
>     /pattern/
>     text

>     [セクション]
>     文字列
>
>     /パターン/
>     文字列

この text は、差し込む原稿、文章のことでしょう。「文、文章、原稿、
テキスト」などと言うところではないでしょうか。もっとぴったりした
訳語があるかもしれませんが。

> Blocks of verbatim *roff text are inserted into the output either at
> the start of the given
> .BI [ section ]
> (case insensitive), or after a paragraph matching
> .BI / pattern /\fR.

> .BI [ セクション ]
> (大文字・小文字は区別されない)の始まりや
> .BI / パターン /\fR.
> にマッチする段落の後に *roff 形式の文字列がそのまま挿入される。

ここはで、テキストがどう扱われるかを説明しているのですから、
*roff text を文頭に出すべきではないでしょうか。
訳例を挙げれば、こんな具合。

   原稿は *roff のテキストであり、出力中の、指定された [セクション]
   (大文字・小文字は区別されない) の先頭部分や  /パターン/ に
   マッチするパラグラフの直後に、そのままの形で挿入される。

あるいは、

  *roff テキストの原稿は出力中にそのままの形で挿入される。
  挿入される位置は、指定された [セクション] (大文字・小文字は
  区別されない) の冒頭部分か、/パターン/ にマッチするパラグラフの
  直後である。

> Patterns use the Perl regular expression syntax and may be followed by
> the
> .IR i ,
> .I s
> or
> .I m
> modifiers (see
> .BR perlre (1)).

> パターンは Perl の正規表現の文法と
> .IR i 、
> .I s
> あるいは
> .I m
> という修飾子を使用する (
> .BR perlre (1) を参照)。

ちょっと端折りすぎです。(Patterns) may be followed を残した方が
よいと思います。

  パターンには Perl の正規表現文法を使用する。修飾子の
  i, s, m を後置してもよい。

「を後置する」は固すぎるかも。「が使用できる」でもよいですね。

> Lines before the first section or pattern which begin with `\-' are
> processed as options.  Anything else is silently ignored and may be
> used for comments, RCS keywords and the like.

> 最初のセクションより前の行や `\-' で開始されるパターンの行は
> オプションとして処理される。それ以外は、静かに無視されるか
> コメント、RCS キーワードといったものに利用される。

begin に三単現の s がありませんから、複数名詞を受けているはずです。
そこで、which の先行詞は Lines ということになります。

silently ignored というのは、エラーや警告を出さずに、ただ
無視するということ。「静かに」と言うより、「黙って」でしょうし、
「何もせずに」という訳もあるかもしれません。こうした silently の
訳は、どうすればよいか、いつでも悩みます。今もうまい訳が思いつき
ませんでした。

  最初のセクションやパターンより前にある行で、'-' で始まっている行は、
  オプションとして処理される。それ以外の行は黙って無視されるので、
  コメントや RCS のキーワードなどに使用することができる。

と言う訳を考えましたが、実際の動作がこうなっているかどうかは
わかりません。動かして確認してみてください。

> The section output order (for those included) is:

> セクションの出力順序(追加分を含む):

for those included が何故「追加分を含む」になるのかわかりません。
原文は、for those sections included in the manual page ということ
でしょうか。つまり、自動的に生成されるものであれ、ファイルから
インクルードされるものであれ、生成される man ページに含まれる
ことになるセクションの順番。それとも、for those sections included
from the include file でしょうか。やっぱり、よくわかりません。

ひょっとすると、「インクルードファイルではどういう順番で書かれて
いても、生成されるマニュアルにインクルードされると、この順番に
従うことになる」と言いたいのかもしれません。だっだら、
「セクションの出力順序 (インクルードされると、この順番に従う)」
でしょうか。

なお、カッコの前後には (この場合は前だけでよいかも) 空白を入れる
のが man ページの流儀です (カッコの前後に空白がないところは、
ほかにもあります)。

それから、

 >    NAME
 >    SYNOPSIS
 >    DESCRIPTION

といったセクション名は翻訳してよいのでしょうか。つまり、help2man の
インクルードファイルで日本語のセクション名は使えるのでしょうか。
そう思ったので、Debian squeeze の help2man 1.38.2 で実験してみました。
セクションに日本語名を使うと、みんな others の位置に入ってしまう
ようです。つまり、日本語のセクション名は使用できない。とすると、
「『名前』という章の説明」といった部分の訳も考え直さなければならない
かもしれません。

# ドイツ語やフランス語の help2man のマニュアルでは、セクション名も
# 翻訳しています。ドイツ語やフランス語のセクション名は使えるという
# ことなんでしょうか。help2man 1.39.2 では、日本語のセクション名も
# 使えるようになったのですか。

> Any
> .B [NAME]
> or
> .B [SYNOPSIS]
> sections appearing in the include file will replace what would have
> automatically been produced (although you can still override the
> former with
> .B --name
> if required).

> 含めるファイルに現れる
> .B [名前]
>> .B [書式]
> というセクションは、自動的に生成される
> 文字列で置換される (しかしながら、
> 必要ならば
> .B --name
> で指定した形式で上書きすることもできる)。

A replace B というのは、「A が B に取って代わる」です。
仮定法と完了形がうまく訳せませんが、訳例を挙げます。

  インクルードファイルに [名前] や [書式] というセクションがあれば、
  そこに記述した内容が、自動的に生成される内容のかわりに出力される。
  (もっとも、どうしても必要ならば、前者については、--name オプションを
  使って、さらに置き換えることができるが)。

> Other sections are prepended to the automatically produced output for
> the standard sections given above, or included at
> .I other
> (above) in the order they were encountered in the include file.

> それ以外のセクションは自動的に生成された上記の標準的なセクションに
> 追加されるか
> .I その他
> (上記)にファイルが検出された順序でその内容が含まれる。

append ではなく、prepend です。

  それ以外のセクションについては、上記の標準的なセクションのために
  自動的に生成される出力の前に挿入されるか、あるいは、(上記の) その他の
  位置に、インクルードファイル中で見つかった順番で取り込まれる。

> .SH AVAILABILITY
> The latest version of this distribution is available on-line from:

> .SH 可用性
> この配布物の最新バージョンは次の場所から入手可能である:

AVAILABILITY はこの場合、「入手先」とか「配布元」とか訳すところでは
ないでしょうか。「利用 (入手) するには」などもありそうです。

> .SH AUTHOR
> Written by Brendan O'Dea <bod****@debia*****>

> .SH 著者
> Written by Brendan O'Dea <bod****@debia*****>

こういう AUTHOR は「作者」と訳すべきだというのがわたしの持論です。
Written by は日本語ではいらないのでは。

> .SH "SEE ALSO"
> The full documentation for
> .B help2man
> is maintained as a Texinfo manual.  If the
> .B info
> and
> .B help2man
> programs are properly installed at your site, the command
> .IP
> .B info help2man
> .PP
> should give you access to the complete manual.

> .SH 関連項目
> .B help2man
> の完全なドキュメンテーションは Texinfo マニュアルとして整備されている。もし、
> .B info
> および
> .B help2man
> のプログラムが正しくインストールされているならば、コマンド
> .IP
> .B info help2man
> .PP
> を使用すると完全なマニュアルを読むことができる。

「ドキュメント」はよくても、「ドキュメンテーション」はまだ日本語
として無理だと思います。でも、何と言えばよいのでしょうか。

-- 
長南洋一




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