オープンソースのWindows用スクリーンリーダーであるNVDAを日本のユーザーのために改良する nvdajp プロジェクトは2012年4月20日に最新の日本語版 2012.1j をリリースしました。インストーラー版とポータブル版の2種類の実行ファイルを公開しています。ライセンスは GPL v2 です。
これは NVDA Project(以下「本家」と記載します)がリリースした 2012.1 に、日本語に関する拡張と変更を加えたものです。日本語音声合成エンジン (JTalk) 、日本語かな漢字変換の音声読み上げサポート、実験的な日本語点字ディスプレイ対応などが追加されています。本家版 NVDA は世界中の開発者によって国際化が行われており、約40ヶ国語をサポートしています。しかし、日本語に関するこれらの機能は現在本家版に取り込まれていません。
リリース 2011.3j からの 2012.1j の変更は以下のとおりです。
NVDA日本語版のサポートは 日本語による NVDA ユーザーのメーリングリスト(nvda-japanese-users) で行います。Google アカウントがなくても nvda-japanese-users+subscribe@googlegroups.com へのメール送信で登録できます。
2011年12月にリリースされた日本語版 2011.3j はインストーラー版とポータブル版をあわせて2000回以上ダウンロードされました。本家版 NVDA はアクセシビリティの分野で高く評価され、商用のスクリーンリーダーと NVDA を目的に応じて使い分けるユーザーが世界的に増えています。この利用スタイルが日本でも広がることを願っています。
無料で高機能のスクリーンリーダーは、視覚に障害をお持ちの方の経済的な負担を軽減し、最新技術の利用を促すために有用です。こうしたパソコン利用を支援するボランティアの負担も軽減できます。さらにWebサイトや電子書籍などの開発者に手軽にスクリーンリーダーを体験していただくことも可能になります。
今回のバージョンで日本語音声合成や日本語入力サポートの品質が向上したことから、より多くのユーザーに NVDA 日本語版をお使いいただけるようになると期待しています。
nvdajp プロジェクトは日本語版の開発スナップショットを随時公開して、ユーザーやサポーターの皆様からフィードバックをいただきながら改良を進めてきました。2012年からは定期的に開発者 Skype 会議を行っています。NVDA は Python と C/C++ で実装されています。開発に興味をお持ちの方のご参加をお待ちしております。